入社1年目からユーミンのツアースタッフに
失敗もたくさん! 現場で学ぶ毎日です――まずはお仕事を教えてください。

――シャングリラではどういう仕事を?
矢野 : 本人付きのケアです。着替える時のマイクの受け渡しやイヤーモニター(受信機)の調節をしたり、とにかくリハーサル中も本番も松任谷さんに付きっきりです。歌と歌の間の演出の時間、裏方スタッフがバタバタしている時に、僕は松任谷さんにイスや水出しをしたりもします。
学生時代にもっと勉強しておけば、 と反省も
――学校での経験は役立っていますか?
矢野 : 機材やケーブルの名前など基本的な知識が役立っています。ただ、もっと学生時代に勉強しておけばよかったと思うことばかりです。例えば、学生時代にPAの卓はよく触っていたので音作りは上達しましたが、いま任されている仕事に必要なのは学校時代に苦手だった電気知識。電気や電源の取り方とか、そういう基礎的なことこそ学べる環境が整っている学校時代にもっと勉強しておくべきだったと、身に染みています。現場でもう一度、学んでいる最中ですね。
あと、質問とは少しそれるかもしれませんが、この学校での出会いが今の仕事につながっています。松任谷由実さんのツアースタッフになることができたのも、学校での研修で松任谷由実さんのツアーでオペレーターチーフをされている方と出会えたから。その縁で在学中に松任谷由実さんのツアーを経験でき、今の会社を紹介していただけました。
最終目標は自分の好きなバンドのツアースタッフ
――PAエンジニアを目指すきっかけは何だったのですか?
矢野 : 高校を卒業してバンド活動をしていた時、ライブハウスで初めてPAエンジニアの存在を知りました。こんな仕事もあるんだなと思って、インターネットなどで専門学校を調べて入学したんです。いま思えば、当時はPAエンジニアがどういう仕事かなんてまったく分かってなくて、フィーリングで決めたようなものです(笑)
――学生生活の思い出は?
矢野 : 友達や先生に恵まれて、すぐ好きになりました。印象に残っているのは授業です。特にみんなで一緒に仕込みをするイベントホールでの授業が好きでした。一番の思い出といえば、学内ライブでの出来事。プロミュージシャン科の学生がホイットニー・ヒューストンの曲を熱唱している最中に、同級生の小指が押したらいけないボタンに触れちゃって、音が全部消えちゃったことが。そういう失敗は学生のときだけで十分です(笑)
――さて、矢野さんは入社1年目にして、プロの間でもあこがれの松任谷由実さんのツアーで仕事をしています。すでに夢を実現してしまった感がありますが、次なる目標はありますか?
矢野 : 25歳でユーミンチームのチーフをしている先輩が違うミュージシャンのチームに移ることが決まって、実は来年から僕がステージチーフになる予定です。まだ2年目で荷が重いというのが本音なんですが、せっかくの大役。ステージチーフをきちんと務めることを身近な目標にしています。
最終的には自分の好きなバンドのツアースタッフになりたい。社会人になって感じるんですが、学生時代は自分が嫌になったことは放っても何とかなりましたけれど、給料をもらっている社会人には責任があります。それに最初から好きなことにたどり着けるわけじゃない。いろんな経験を自分で糧にして、ひとつひとつ近付いていくことが大事だと思っています。
――これから音楽業界を目指す学生や高校生へメッセージをお願いします。
矢野 : やりたいことをやるのが一番。でも、やりたいことってなかなか見つけられないものです。だからこそ、いろんなことに挑戦して、たくさんの経験をしてください!
株式会社エス・シー・アライアンス
サウンドクラフト ライブデザイン社
コンサートやミュージカルなどを中心としたPAの会社。コンサートでは松任谷由実、中島みゆきコンサートツアー、石井竜也など。ミュージカルや演劇などでは「アニー」「地球ゴージャス」(岸谷五朗演出)、帝国劇場「ミー&マイガール」(山田和也演出)などを手掛けている。
矢野貴大さん PAエンジニアコース 2007年3月卒
サウンドクラフト ライブデザイン社

矢野貴大さん PAエンジニアコース 2007年3月卒